3号記事紹介:映画からイメージする福島

福島、そして日本の現在・過去・未来をイメージするための、映画+トーク・イベント「イメージ福島」が昨年8月にフォーラム福島(福島市)で開催されてから、早5回が終了。vol.6に向けて、映画を通して福島的なる日本をトークする。

震災直後、いわきに一番来て欲しかったのが
トラック野郎の一番星桃次郎だった!

すぎたカズト(J-one):4月14日/15日に福島市の映画館・フォーラム福島で「イメージ福島vol.5」を終えたところですが、まずはその総括を。

三浦哲哉(Image.Fukushima実行委員会会長):去年8月開催のvol.1ではドキュメンタリー映画をセレクトしていました。震災間もなく放射線や内部被曝についても知識が不足していたので勉強会を兼ねて。現在は、劇映画も交えて原子力エネルギーや放射線というものが僕らの想像力や社会にどのように喰い込んでいるか、映画を通して解きほぐしてゆく試みにシフトしています。今回は、以前からやりたかった『太陽を盗んだ男』、そして(原発が全国に推進されて行った)経済成長期の地方そのものを描いた『トラック野郎』を組みました。コテコテの勧善懲悪物ですが、その在り方に時代という物が反映され現実が写っていると思うので、映画を通してタイムスリップをしてみようと。

すぎた:第8作の『トラック野郎 一番星北に帰る』はシリーズ中、最も感傷的と言われる作品で、福島と岩手の両方に住んでいた私としては大感激でした。日本人がもし何かを失っているとすれば、あの映画がそれをカバーしていると思います。

三浦:昭和50年、1970年代、高度経済成長期で日本がどんどん豊かになってゆくけれど、同時にいろいろなものが失われてしまう。ヤクザ映画も必ず金の事しか考えていない新興勢力が出て来て、昔氣質のヤクザが滅んで行って、というパターンですね、昔の大衆娯楽映画って。消え去りつつあるものとして東北が舞台になって、菅原文太扮する桃次郎が自分の生まれ故郷がダム湖の底に沈んだ故郷を眺めるという名場面では劇場が異様な空氣になっていました。もちろん、プログラムする側としては原発事故で無人地帯となり誰も住む事が出来なくなってしまった町を思う今の福島人の氣持ちとそこに重なるだろうという狙いがあって掛けた訳ですけど。

すぎた:『トラック野郎』は松竹の『男はつらいよ』に対抗する正月/お盆のシリーズ作として作られたのだけど、そこは東映なのでハミ出した(一部、家族映画に相応しくない演出も含む)部分が多々あって。鈴木則文監督はハチャメチャな映画ばかり撮っているようで文学通でもあり、心を締め付けるあの力技には唸らさせられました。

三浦:下品で破天荒で力技で、すぐウンコ垂れたりトルコ風呂で姐ちゃん抱いたりとかするけど、基本的に庶民や大衆の味方なんですよ。大衆って今、あんまり言わないですけど。面白かったのは警察が悪者なんですよね。「この税金泥棒!」とか、今の邦画はそんな事言わない。鈴木則文の一貫したテーマは庶民の味方って事です。庶民のドロドロしたエネルギーを、下品な部分を含めてきちんと出す。警察がダメで官僚やお上が敵、というのが、面白い。そういうのがずっとなかったけれども、それが原発事故の後にちょっと出て来たじゃないですか。役人のやっている事や天下り、巨大企業や東電は何やってるんだ、という感情が福島に渦巻いている。結局、割を食うのはオレら弱い庶民じゃないか、そこへ文太を持って来たかったって事ですよ。

すぎた:震災直後、トラックが入って来なかったいわき市に一番やって来て欲しかったのが一番星の桃次郎だったんですから! ところで文太と言えば、もう一本の『太陽を盗んだ男』。今回たまたま前日まで広島出身の友人を連れて福島県内をまわっていたんです。そのせいか、文太演じる刑事がーー映画の中では触れられていないけれどーー広島県人代表のように思えて。監督の長谷川和彦自身、胎内被曝していて、文太と言えば広島を舞台にした『仁義なき戦い』ですからね。80年代に観た時は文太とジュリーのアンバランスに愕然とした訳ですよ、ヘリから飛び降りても死なないオーバー・アクティングに。あれは今回、原爆が落ちても石にかじりついて生き抜いた広島県人のエネルギーだったのかと…。

以下、「J-one」3号をご覧下さい。取扱い先

プロフィール:
三浦哲哉(みうら・てつや)/1976年生まれ、福島県郡山市出身。映画批評、大学講師、Image.Fukushima実行委員会会長。訳書に『ジム・ジャームッシュ・インタビューズ』(東邦出版)、共著に『ひきずる映画ーポスト・カタストロフ時代の想像力』(フィルムアート社)。単著『サスペンス映画史』(みすず書房)が本年6月23日に刊行。

すぎたカズト/1964年生まれ、東京都出身。文筆創作業。1980年代末からライター業となり、1991年、ネパールを訪れ、南アジア文化に触れる。日本で唯一のボリウッド映画専門情報誌『ナマステ・ボリウッド』主宰。共著『ちょっとキケンなひとり旅』(イカロス出版)、『三国志読本』(角川春樹事務所)他。イメージ福島実行委員会メンバー。90年代半ばに会津に暮らし、やり残した事への自戒をこめて福島の声を届ける『J-one』を2011年より創刊。

*お知らせ*
第1回 言叢社/「J-one」 福島取材報告会~福島をみつめて~
「今 伝えたいこと(仮)~ 相馬高校放送局」DVD上映
日時:2012年6月16日(土)午後6時45分 開場/午後7時~9時
会場:東方学会本館 2階会議室(東京都千代田区西神田2-4-1)
・最寄り駅は「神保町」、A2出口より水道橋方面へ200mほど。西神田交差点の近くになります。
・JR水道橋駅西口からも400mほど。
会費:1000円
「J-one」3号代500円(内、福島での子ども週末保養プログラムへ100円)・会場費・お茶代・この夏の金沢/京都公演を控える相馬高校放送局へ活動費カンパ100円を含みます。合計200円が福島への支援金となります。
主催:スタジオ・サードアイ「J-one」
協力:言叢社
*席に限りがあります。なるべく事前にお申し込みください。
お問い合わせ・お申し込みは、メールフォームよりお願い致します。
(終了しました)

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