5号記事紹介:「椏久里の記録」(市澤秀耕・市澤美由紀・著/言叢社・刊)

J04-06-27「山の珈琲屋 飯舘 椏久里の記録」
市澤秀耕・市澤美由紀・著
言叢社・刊
1600円+税

市澤秀耕(いちさわ・しゅうこう)/1954年福島県飯舘村生まれ。島根大学卒業。飯舘村役場勤務を経て、1992年、妻・美由紀さんと自家焙煎珈琲の店「椏久里」を開店。2011年、原発事故避難により「椏久里」福島店(TEL:024-563-7871)を開店。
http://www.agricoffee.com

先代に生かされている実感を失った現代社会へ。
福島県人はシャイな人が多い。飯舘村の人々も同様でーー恥ずかしさと、言ってもどうせ分からないだろうと、「飯舘村です」と言えなかったーーそれが一転、福島第一原発事故によって、皮肉にも苦難の里として全国的に知られる事となってしまった。
本書は『J-one』3号「福島と生きる」コーナーに登場して頂いた市澤秀耕さんと美由紀さんのご夫婦が、飯舘村で唯一の珈琲店『椏久里』を切り盛りして来た記録である。四国の面積75%に準ずる福島県には、わざわざ店ー町中でなく奥深い野山にあって文字通りわざわざ行かなければ味わえないカフェがわりとあって、中でも  年前に開業し自家焙煎と手作りケーキ等にこだわった『椏久里』は福島における「わざわざ店」の走りといえよう。
秀耕さんは東電への集団提訴に加わっているだけあって、今回の災害と事故対応における行政にも考察を割いているが、「やりたいこととやれること、そしてお客さんに支持されることを整理して考える必要」、「できない理由を羅列するのはたやすいことだが、そこからは何も生まれない。肝心なのは欠点や短所と思っているところに隠れている長所要素を見つけ出し、それを活かすことである」など、開業や移転についての記述はカフェ経営の指南書とも読める。
実直な文体は飯舘村の基本精神である「までい」を感じさせ、「裏山で建築材の伐採が行われた。大きな木が雪煙をたてて倒される模様を見て、先代に生かされていることを思い、感謝した」という山村の生活感が伝わり、これが放射能によって汚された事が実に忍びない。また、「農業の技術習得や品種改良は、その検証に長い時間が必要だ。(中略)その成果を確認できるのには一年あと二年後だったりする」という一文は、土と共に歩んで来た飯舘村が除染という課題を超えてどう再生してゆくのか、考えさせられる。
(すぎたカズト/「J-one」主宰)

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