【書評】『ドイツ・低線量被曝から28年』(ふくもと まさお 著/言叢社刊)

J8-140411『ドイツ・低線量被曝から28年
チェルノブイリはおわっていない』
ふくもと まさお 著/言叢社・刊/1500円+税)

「倫理」で原発を止めたドイツからの報告。
ドイツは、1986年4月に起きたチェルノブイリ原発事故によりバイエルン州南部を中心に放射能汚染を受け、事故後28年経つ。しかし、セシウム137の半減期にはまだ達していない。

著者は、原発事故1年前の85年に東ドイツへ渡り、現在もベルリンに在住するフリーライター。福島第一原発事故を起こした日本は、チェルノブイリ原発事故のため高線量汚染地となったウクライナやベラルーシより、社会的要因が似ていて同じ低線量被曝の問題を抱えるドイツにこそ、学ぶところが大きいと説く。ドイツでの事例に福島の現状を交えた記述は実に読み易く説得力があり、巻末資料「ドイツ・バイエルン州における農水産物の放射能汚染の推移」も大変参考になる。

その他、風評被害対策に迅速に動いたドイツ農民連盟や有機農家の秘策、市民が放射能測定室を立ち上げた経緯などに加え、原発事故発生時、まだ社会主義体制にあり、情報隠蔽された東ドイツの記述も興味深い。大学教授や専門家が口を閉ざす中、ある日、品不足の市場に新鮮なレタスが大量に並ぶ。西側のテレビから情報を得ていた国民が事故の影響から輸出出来ず国内へ出回ったと見抜くと、国は幼稚園や学校の給食にレタスを使用。後にベルリンの壁が崩れ、放射能汚染についての測定データを把握した東ドイツ当局が給食のレタスを食べないよう子供に言いつけていた親を「危険分子」として秘密警察シュタージに監視させていたと発覚。まるで、どこかの国でも現実としてあり得そうな話だ。

事故後、ドイツでは増加した人工放射線量は1mSv/h未満とされるが、乳児死亡率、白血病、小児神経芽細胞腫などの先天性異常が増加し、出生児も女児が減って男児が増加する現象が起き、政府はこれを原発事故の影響とは認めてはいないながらも、2007年の疫学調査から、原発に近いほど5歳未満の子供に全がん、白血病が多いと発表。そして、ドイツは経済論理からでなく、「倫理」から脱原発と再生可能エネルギーの道へ大きく舵を切った。福島第一原発事故から4年目に入った今、日本の進むべき道が見える。
(J-one/すぎた和人)

著者プロフィール/ふくもと まさお
ドイツ・ベルリン在住。1985年、東ドイツへ渡り、邦人企業に勤める。東西ドイツ統一後、会社を共同経営、フンボルト大学非常勤講師を経て、フリーライターとなる。

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