「J-one」11号掲載
「福島と生きる」
これからの「幸せ」とは、世界中でシェアし合うこと。
宍戸仙助(ししど・せんすけ)/元福島県伊達市立富野小学校・矢祭町立東舘小学校校長。認定NPO法人「アジア教育友好協会(AEFA)」参与。
「もったいない」を活用する
伊達市立富野小学校に赴任する直前に311が起きて、人事が4か月間凍結され、実際に着任したのは8月でした。校庭の放射線量を軽減するために自分たちで除染したり、移動教室を行ったりしましたが、そうした事をやれたのもその前に県南の矢祭町で合わせて6年4か月に渡って二度、教頭と校長として勤めた事も大きかったかと思います。と言うのも、初めて矢祭町に教頭として赴任した時は、ちょうど住基ネット接続や町村合併に反対して独自路線を歩んだ根本良一町長の三期目だったからです。
とは言え、福島市内の自宅から120km近く離れた赴任先に二度も辞令が出るのは希です。よほど矢祭に縁があるのかな、と友人の住職に話したところ、「縁とは神や仏が与えるものでなく、自分で引き寄せるものだよ」と言われて、そうか、だったらやれる事を存分にやってみたいと思った訳です。
(中略)
(矢祭町立東舘小学校で)3年間の取り組みのあと、異動の内示があった直後に、震災が起きました。矢祭町でも被害が酷く(最大震度5強)、体育館の壁だけでなく校舎の躯体そのものにもひび割れが入りました。3月23日の卒業式をやるべきかどうするか、それぞれの校長判断となりました。その時に「子供たちがどう思っているか? 子供たちがやりたいと言うのなら、ぜひ、やってあげたい」と。それで時間を短縮して実施することになったけれど、6年生が「僕たちが選んで練習してきた卒業式の歌を歌えなかった」。子どもたちから「避難所に行って歌い、避難している人たちを励ましたい」というアイディアが出され、近くの避難所に行って浪江・大熊・楢葉の人たちの前で歌ったんです。
−−宍戸さんは、東舘小学校在籍中、アジア教育友好協会(AEFA)との交流からラオス南部・サラワン県のナトゥール小学校を訪れた体験から定年後、AEFA参与となって日本とアジアの子どもたちとの橋渡しに尽力する事となる。
ラオスの学校に校歌を届ける。
(ナトゥール小学校との)取り組みの二年目にAEFAの理事長がうちに来た時、家内に「ご主人が退職したらAEFAに貸してください」と頼んだんですよ。「まあ、まだ、2年あるから、ゆっくり考えましょう」と返事をしたのが震災前の話です。そして、いざ定年を迎える10日前に家内が「これからどうするの?」と聞くから、「それがな、やっぱりAEFAに行きたいんだけど」と伝えたら、凄く怒られました。「あなた、今、福島の子供たちがどんなに苦しんでいるのか解ってるの? それなのに外国の子供たちを助けるって言うの?」と。 実は、ナトゥール小の子供たちの前でラオス語で校歌を歌った時に、子供たちの目が物凄く輝いて心にグサッと突き刺さったんですよ。それはもう「二十四の瞳」なんてものじゃない。二十代の時に教員を志した時の夢そのものでした。こんなに貧しくても、どうしてこんなに目が輝いて幸せそうにしていられるのか。この目の輝きを日本の子供たち、自分の学校の生徒たちに取り戻したいと思ったんです。
以下、記事全文は、「J-one」11号をご覧下さい。
「J-one」直販ショップ、3rd-eye stores.jpにてオンライン購入頂けます(1500円以上、送料無料)。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
J-one ムービー・プロジェクト『小高の春』制作中。
「J-one」トップ・ページへ
facebookのJ-oneページもよろしくどうぞ。 http://www.facebook.com/J.one4U
*「J-one」バックナンバー好評発売中!
「J-one」直販オンラインショップ