4号記事:書評「フクシマ 放射能汚染に如何に対処して生きるか」

フクシマ

「フクシマ」島 亨・著/言叢社・刊/1714円+税

「フクシマ 放射能汚染に如何に対処して生きるか」
島 亨・著/菅野 哲・談話/言叢社・刊/1714円+税

危機を生きる市民としての考察
数ある福島第一原発事故関連の中でも本書が異彩を放っているのは、まず「国」というものを問い直す作業から始めている点だ。人々が心に抱く地元や故郷としての「くに」と「国家政府」との違いを明確にし、今回の事故対応で国が地方住民の主権をないがしろにしている事を炙り出す。
著者の島 亨氏は経済誌記者から転じ、長らく縄文やアジア、日本国内の文化・民俗に関する良書を刊行し続けて来たふたりだけの出版社・言叢社の同人代表を務める。同社書籍を福島県内の印刷所に発注して来た事も手伝って、本書を1年余りかけて執筆したという。
震災直後に起きた連鎖的な水素爆発や放射能性物質の拡散状況等が論考される中で、特に政府が「年間許容線量20*ミリシーベルト(仏・独原発労働者と同じ)で暮らせる」とする根拠を丁寧に考察し、「ICRP国際基準で決めた」という嘘を暴いている。ICRP(国際放射線防護委員会)自体が「緊急時被ばく状況で使用される線量(規模)の参考レベルは(中略)社会的、政治的観点から支持されない(中略)ある時点で、現存被ばく状況を管理するため、通常委員会の勧告する1〜20mSv/年の下端に相当するような、新しい参考レベルを特定すること」(ICRP PUblication 109)と示しており、政府はこれを都合よく採択したに過ぎない。
さらに、著者は内部被曝の問題や賠償問題や原発事故被災者支援法、チェルノブイリ法についても言及してゆく。本書には豊富な図版が引用されているが、用いられた資料は一般書籍や政府文書等、インターネットを通じて得られるオープン・ソースであり、それらをつぶさに読み込む事で市民もこのように原発事故を検証出来る事が解る。
また、『現代思想』等にも登場している飯舘村の農業者・菅野 哲さんの談話も長文で収録されていて一読に値する。

訂正:「2」ミリシーベルトを訂正しました。

*島 亨(しま・とおる)/1939年生まれ。言叢社同人代表。国際経済社記者、木耳社編集部を経て、言叢社を協同設立。縄文造形研究会員。共著に『秩父幻想行』(木耳社)、『縄文図像学 I ・II』(言叢社)、『光の神話考古』(言叢社)など。

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